伏見稲荷大社
大混雑の稲荷大社

京都が訪日外国人の観光客で溢れかえり、市民の暮らしにも大きな影響が出ていると様々なメディアで報道されています。

観光税を取るとか民泊を強化するとか、多種多様な意見が飛び交っています。もちろん、これらの案を効果を発揮すると思いますが、これらは市政の政策によるものなので、元旅行会社社員の観点から見た京都の混雑緩和につながる案を2つ提言してみます。その2点とは…

  1. 奈良・滋賀と言った近隣地域をプロモーションし、京都への一極集中を避ける。
  2. 訪日外国人用に運行されている洛バスの運行経路、使用車両の見直し。

この2点について、解説します。

奈良・滋賀のプロモーション

前回の記事で、滋賀に頑張って欲しいとの記事を書きました。

2018年の統計では訪日旅行者全体数が前年割れする中、日帰り客が増え、宿泊客が減っています。

また、奈良は日帰り観光地からの脱却を図りたいとの意向を示しています。

奈良をハイエンドな観光地に 荒井知事に聞く

奈良県民、滋賀県民の声を直接聞いたわけではありませんが、少なくとも地方自治体レベルでは注力する意向を示しています。

そして私が注目するのは、奈良と滋賀には訪日外国人を受け入れやすい環境という点です。

すでにゾーニングができている奈良

結局奈良は鹿と大仏様だが、それをどこまで使い倒せるかが重要

奈良駅からならまち、奈良公園、春日大社、東大寺と一本の線でつながっており、訪日外国人の動線が確定していて、すでにゾーニングができている状態です。京都で言えば、清水寺から産寧坂、八坂神社から祇園四条駅へのルートと同じくらいの距離なので、これだけ見ても奈良が一箇所に集中しているかが見て取れます。なので、このエリアを徹底的に伸ばす方法を見出すべき。

特に奈良は大阪や京都からの日帰り客が多いので、どれだけ宿泊客を伸ばせるのかがポイント。ホテルの誘致も良いのですが、朝市とかライトアップイベントとか、宿泊してこそ楽しめるもの、かつ継続できるイベントが必要だと思います。朝の7時とか夜の9時とか、その時間に奈良にいないと見れない魅力的なものなら、宿泊への大きな動機付けになります。

「泊まってこそ楽しめる奈良」。そう思わせる施策が必要です。

また、県内には見どころが点在していますが、京都のように市内各所にバラけているわけではなく、吉野山などは同じ奈良県にあるというだけで、言ってみれば、京都市内と天橋立くらい、まったく別の観光地。そういう環境もマネージしやすい状況と言えます。

滋賀県はレイクリゾートを前面に

以前、書いた滋賀県への提言は、「コアな欧米観光客」への訴求でしたが、今回はライトな観光客への訴求について考えてみます。

レイクリゾートってド定番ですよね。とってもわかりやすいコンセプトなんですが、びわ湖は日本最大のレイクなのに、レイクリゾートのイメージはありません。浜大津とか雄琴温泉とか大型ホテルがありますが、高層ホテルが湖岸沿いに林立しているわけでもなく、観光に特化した場所というわけではありません。ある意味健全な姿とも言えますが。

十分美しい浜大津の夕景

とはいえ、京都観光のベースと考えたら、アクセスしやすい浜大津の一択でしょう。県都である大津なので一般市民の生活に密着した施設や民家が多すぎて、開発できる余地がほとんどありませんが、いずれにしても大規模な開発資金を県や市に捻出できないでしょうし、既存の施設を最大化し、京都観光へのベースとしての魅力を高めるのが最善策。湖岸にある大型ホテルである、琵琶湖ホテル、びわ湖大津プリンスホテルのツートップを使い、びわ湖のイブニングレイククルーズ、びわ湖花噴水のイルミネーションといった、夜にしか見れないアトラクションで宿泊への訴求力を高めます。

基本奈良と同じく、夜や朝に何ができるかで宿泊するか否かの動向が決まります。

花噴水のナイトイルミネーションも宿泊する動機付けの一つ

もちろんこれだけでは不十分だし、資金も十分とは言えません。ここは京阪電鉄を引き入れて、祇園→比叡山→浜大津のルートを確立し、浜大津に宿泊する意味を持たせます。このルートの交通機関は比叡山西側の叡山ケーブル、叡山ロープウェイが京福電鉄の経営ですが、その他はすべて京阪電鉄傘下。浜大津地域の活性化という意味では、京阪が参画する意義は十分です。

このルートは電車、ケーブルカー、ロープウェイ、バスにのって、最後はレイククルーズという、まるで箱根のようなルーティングです。富士山は見えませんが、日本一でっかいびわ湖でのクルーズですよ。なんてったって日本一なんだから。

もちろん、逆ルートも可能。そうすれば、比叡山経由で祇園方面を観光し、三条駅から京阪で浜大津に戻れます。連泊も見込めるし、京阪の運賃収入も上がります。むしろ京都観光のベースと考えてもらうなら、これがベストな形。

2020年には西武百貨店大津店が閉店されます。その跡地の活用も要検討。アウトレットとか入れば、めちゃめちゃ訴求力アップなんですけどね、三田とかりんくうタウンとか、少々離れていても行きますから。

洛バスの運行経路をわかりやすく、乗りたいと思うバスで運行

住民が乗る市バスと観光客用のバスをいかに分離するかが重要

京都での大きな観光公害の一つがバスの混雑です。どのバスも大混雑で、もともと道路の渋滞が激しい京都で、さらにバスが遅れる原因となっています。

京都市交通局では洛バスという観光客に特化したバス系統があり、主に3系統のバスが京都の見どころを回っています。

洛バス(京都市交通局)

私が思うに、系統を3つに割った理由が不明。右も左も分からない訪日観光客を相手にするなら、シンプル・イズ・ベスト。系統一つの環状ルートにして、時計回りと反時計回りにすればいいと思います。その分、数分おきにバスが来るくらい、運行頻度を高めて待てずに乗れるという利便性をアップ。

そして、「これに乗りたい!」って思わせる車両を利用し、バスそのものをアトラクションとします。具体的には二階建てバスとか、オープントップバスとか。

はとバスの2階建てオープントップバス。でも、こんなに豪華でなくても良い。法的にクリアできれば、市バスの屋根をぶち抜いたオープントップで十分(C) Comyu [CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]

これで訪日外国人は率先してこのバスに乗るので、住民の足として市バスと訪日外国人のバスを分離することができます。

さらに、訪日外国人用のバスの1日券は、この新しい洛バスのみカバーすることにすれば、訪日外国人の市バス利用は激減するはずです。

いきなり、洛バスの利用車両をいきなり全車2階建てとかオープントップバスにするのは京都市交通局にも負担でしょうから、スタートは数台で良いです。とにかく目玉車両を設け、訴求力を高め、住民の足との分離を図ること。

お互いテリトリーには入らないようにしようね

あとは通常の市バスにラッピングでも良いですが、JR西のはるかのようにハローキティラッピングにするとか、ポケモンとか、訪日外国人に刺さるようなキャラを使ったほうが良い。極端な話、くまモンでも良い。京都っぽくありませんが、確実に乗りたがります。

以上、元旅行会社社員の目線からの提言でした。

おわり