吉備線(通称桃太郎線)のLRT化協議が中断されることになりました。コロナ禍により事業主体であるJR西日本、岡山市と総社市の財政悪化が原因です。
吉備線LRT化の概要
吉備線のLRT化は2018年にJR西日本、岡山市、総社市が合意して、10年後の開通を目指していました。
通称桃太郎線と呼ばれる吉備線は岡山と総社を結ぶローカル線ですが、岡山市内への通勤需要が高く、LRT化することで駅数と本数を増やすことで増収が見込めるため、
LRTはLight Rail Transitの略で、平たく言えば専用軌道を走る区間が多めの路面電車です。
JR路線のLRT化による成功例としては、富山港線から富山ライトレールへの移管がよく知られています。
富山ライトレールは富山駅の高架化工事完了に伴い、富山地鉄の市内線と接続され、現在は富山地鉄の富山港線として運行されています。
吉備線LRT化も岡山市内の路面電車である岡山電気軌道との接続を視野に入れています。
コロナウィルス感染症によるダメージ
コロナウィルス感染症により、JR西日本は2020年4~12月期の連結決算は、最終損益が1618億円の赤字となっています。
前年同期は1171億円の黒字だったことから、新型コロナウイルスの感染拡大による減収はかなり深刻です。
加えて、コロナウィルス感染症もより、地方公共団体の財政も悪化しています。感染症対策による支出に加え、景気の悪化による税収の減少は避けられません。
このような状況から、事業主体三者ともに新規事業に対する財政の余裕がなく、吉備線のLRT化事業が本格化し、支出が増える局面を迎える前に協議を中断することで合意したということです。
財政面の問題に加え、感染症対策という観点から対面の協議を行うこともできないのも協議中断を決定する理由の一つになったと思われます。
今後の見込みは?
コロナウィルス感染症の収束しないことには協議を再開することはできず、先行きは全く不透明です。
一旦仕切り直しということになりますが、三者間での合意はされており、LRT化による増収のメリットを考えれば、事業そのものが中断になることはないでしょう。
コロナウィルス感染症が拡大する前から、基本計画の策定に遅れが生じていましたが、10年後を目処にしていた開通時期は大幅な遅れが避けられません。
宇都宮LRTや北陸新幹線などの工事も遅れており、コロナウィルス感染症の早期収束を切に願います。