オーロラやスキーもありますが、カナダ旅行はやはり夏がピーク。夏シーズンと言えば、5月下旬から本格的なシーズンとなるのですが、各社ともに本格シーズン到来前の需要喚起の意味合いも込め、「春のカナダ」と銘打ったパッケージツアーを投入します。このシーズンは航空券やホテルなど、全て夏のピークに比べ格段に安いため、かなり魅力的な料金が付けられおり、夏には見られないパターンのツアーがあるのも特徴です。そんな中でもナイアガラ、カナディアンロッキー、バンクーバーの3つの見所を4泊6日で回る早周りツアーは夏にはあまりお目にかかれないパターンです。
では、このタイプのツアーの中で、以下の2つのツアーを例に、ツアーの中身と注意すべき点について検証してみたいと思います。
フライト
いずれもエアカナダ利用。往路成田>トロント、復路バンクーバー>成田を利用しています。考えられる中でベストの選択です。
ナイアガラでの食事
到着日:阪急がおにぎり弁当、JTBが幕の内。違いはその名の通り。幕の内の方がおかずの量などが多いのでしょうが、絶対的な差はないと思います。
2日目朝食:双方ともにホテルでの朝食。特に差はなし。
2日目昼食:滝の見えるレストランでのビュッフェ。ナイアガラのほとんどの高層ホテルには「滝の見えるレストラン」があり、昼食はほとんどビュッフェです。ホテルによってはスペシャルメニューを提供するところもありますが、ツアーで利用されるレストランは一般的なビュッフェなので、差はないと考えてよいと思います。
ナイアガラのホテル
JTBがスカイラインイン、阪急がスーペリアクラスとホテルが限定されていません。最終日程表をもらうまで、どこになるか分かりません。夜到着し、次の日にはチェックアウトして観光に出たまま、移動してしまうとは言え、滝のそばまで歩いていってイルミネーションを見ようと考える方もいらっしゃるでしょう。そう考えると予定が立つJTBの方がやや優勢です。
ナイアガラの観光
差はありません。ただし、ナイアガラの滝の観光の名物とも言えるのが「霧の乙女号」。例年4月中旬から下旬にかけてスタートしますが、運行開始日は結構ぎりぎりまで発表されません。これは冬の間に溜まったナイアガラの滝の氷が完全になくなるのを待つためです。(氷があると、船がぶつかった場合、沈没の可能性がある)どうしても乗りたい場合は、5月以降だと高確率で乗れるでしょう。ただし。旅行代金も結構上がってしまいます。
ナイアガラからカナディアンロッキー・バンフへの移動
昼食後、1時間半かけてトロントへ移動し、そこから約4時間のフライトでカルガリーへ。さらに1時間半走ってバンフです。この日は結構きついですよ。
阪急の日程では、カルガリーへ移動が16:00~18:15となっています。これはおそらくトロントからカルガリーへの出発及び到着時間だと思うのですが、もしかするとトロント出発時間が16:00~18:15の間のいずれかですよ、という意味かも知れません。エアカナダのスケジュールを確認すると、AC125(発16:00着18:08)とAC133(発18:30着20:38)と何とも微妙・・・
バンフ到着日の夕食
JTBはなし。阪急では「アルバータ牛と海老のソテー」とあります。食事の有無で考えれば、当然阪急に軍配が上がりますが、注意点はこの日の移動距離と時差。移動がながいことは上記の通りですが、それに輪をかけて、ナイアガラとバンフでは時差が2時間あることも忘れがちです。行程によると、到着時間は20:40~22:30とあります。すでにナイアガラからバンフへの移動にて指摘しましたように、到着時間の幅と考えるべきでしょうか???仮に20:40から夕食を食べるとしても、ナイアガラの時間で考えると22:40!しかも、カナダに来てまだ2日目。食べてる間に寝てしまいそうです・・・
この食事はスケジュール的に考えればホテルではないと思いますが、明記されていないので、はっきりとは分かりません。気になる方は、旅行会社にご確認を!
バンフのホテル
阪急がバンフスプリングス、JTBがインズオブバンフ。バンフスプリングスと言えば、バンフのみならず、カナダを代表するホテルのひとつといっても過言ではないので、差は歴然ですね。ただし、バンフスプリングスでの宿泊がものすごく良いかどうかと言えば、微妙です。宿泊した人の意見を聞くと、良い悪いが真っ二つになるのではないでしょうか?部屋によっても当たりはずれが多いホテルです。カテゴリーは下がりますが、インズオブバンフも悪いホテルではないですよ。
カナディアンロッキーの観光
内容の違いは、阪急がモレーンレイクを込みにしていること。JTBが5月31日以降の出発日では窓の大きなバスでの観光を売りにしていること。
モレーンレイクはレイクルイーズと並んで人気の高い湖ですが、通常コロンビア大氷原の雪上車観光の日には組み込まれないことが多い湖。これを見れるというのは大きなメリットです・・・が、見れるのはモレーンレイクへの道路が開通する5月下旬から。しかも、道路が開通したばかりのころのモレーンレイクは、水量が少なく、イマイチです。本当にきれいなモレーンレイクが見られるのは6月下旬くらいからです。
一方のJTBの窓の大きなバスでの観光ですが、これは別記事「バスとバン、観光向きなのはどっち?徹底比較!」で記しましたが、視界の大きなバスで回れるのは意外とバリューがあります。ただし、これも多くのお客さんが集まると見込める5月下旬以降の時期に限定しています。逆に言えば、それ以前の時期だと、観光バスにするほどのお客さんが集まらない可能性が高い・・・と踏んでいるわけですね。
その他の観光内容での注意点ですが、レイクルイーズと始めとする湖の溶ける時期も要注意。きれいな湖面が見られるのは5月下旬から6月上旬です。4月なんて、まだ真っ白で、ほとんど冬景色。標高の高いボウレイクなどは、どこからが湖なのかも分からないほどです。そしてコロンビア大氷原の雪上車観光。4月16日から運行開始ですが、開始直後は雪が降る可能性が高く、運行中止のリスクも高いです。また、運行されても真っ白でかなり寒いことも覚悟しましょう。
最後に観光中の食事ですが、いずれもビュッフェ。カナディアンロッキー観光中の食事場所は、クロッシングというドライブインと、コロンビア大氷原雪上車観光の乗車地点のレストランの2箇所しかありません。(正確にはほかにもありますが、団体ツアーに使えるのは実質2箇所のみ) どちらも特筆すべきレストランではありません。
カナディアンロッキー観光は5月下旬からが本格的なシーズンなので、4月くらいだと冬のロッキーになると考えておいてください。
バンフでの夕食
双方ともに夕食付き。阪急がサーモン、JTBがアルバータビーフです。これも夕食場所がはっきりしないです。特にバンフスプリングスに宿泊したら、一回はホテルで食べてみたいと思うのが人情ですね。
カルガリーからバンフへの移動、出発時の朝食
早朝出発が前提になっていると思います。JTBでは出発を「早朝」の時間帯にしていますし、阪急では04:45~10:00としています。これを見ると、やっぱりナイアガラからカルガリーへの移動も、発着時間の幅と考えるべきでしょうね。04:45~10:00をバンフからカルガリーへの移動時間と考えるには、幅があり過ぎます。
これだけ早朝ということもあって、JTBは食事なし。阪急では「ホテルにて」となっていますが、お弁当もしくはサンドイッチやマフィンといったバスの車内でも食べられるようなものになる公算が高いですね。
バンクーバーの観光、昼食
JTBと阪急を比較すると、観光内容の違いはJTBがバンデューセン植物園を5月いっぱいまでにしていること。阪急がオリンピック聖火台跡地を含めていること。この2点です。内容だけを比較すれば、阪急の方が充実していますね。阪急は翌日の帰国日にグランビルアイランドへの寄り道も含んでいます。この項目ではJTBには勝ち目なしですね。
昼食の内容は、JTBがサーモン、阪急がフラワープレート。フラワープレートは内容がまったく分かりません。おそらくバンデューセン植物園に併設されているレストラン「ショーネシー(Shaughnessy Restaurant)」でのスペシャルメニューと推測されますが・・・確認すべき項目ですね。
また、春のバンクーバー観光のハイライトであるバンデューセン植物園では、よく左の写真が使用されていますが、この写真にあるキバナフジ(ラバーナム)が見られるのは5月中旬から下旬。それ以外の時期でもいろいろな花が咲きますが、これを目当てにするなら、時期をお間違いなく。
バンクーバーのホテル
阪急がカスカディア、JTBがエンパイアランドマーク。クラス的には同じような内容ですが、ロケーションはロブソン通りに面するエンパイアランドマークが圧勝。カスカディアもダウンタウン内ですが、中心地からはやや外れています。ただし、部屋の内容はキッチン付きで広いカスカディアが圧勝。このあたりは好みが分かれるところですね。
バンクーバーの夕食
どちらも中華ですが、阪急は「北京ダックコース」と明確に示しているので、その点プラス。JTBでも北京ダックが出るかもしれませんが・・・
出発日
どちらも朝食付きですが、JTBはミールクーポンですので、自由度が高いですね。出発までの時間を好きに使えます。阪急は前述の通り、グランビルアイランドに立ち寄るので、朝は結構忙しいと思います。ただ、とにかくたくさん見たい!という方にはうってつけです。
以上、2つのツアーを比較しながらの各所での注意事項をまとめました。ご旅行の参考になれば幸いです。