旅行業界ではカナダのツアーは上期と呼ばれる4月から10月。そして下期と呼ばれる11月から3月に分けられます。カナダの本格的な観光シーズンは夏であるため、旅行パンフレットも夏は店頭に多く出回り、パンフレットのページ数も多く、一都市滞在型から周遊型まで色々なツアーが掲載されています。
逆に冬はパンフレットが非常に少なくなり、オーロラ、スキー・スノボといった目的に特化したツアー。または、一都市滞在型のツアーのみといっても良いほどのラインナップ。オーロラやスキー・スノボといったツアーは冬に特化したもの(オーロラは夏もありますが)なので、夏の比較はできませんが、一都市滞在型ツアーは夏に比べて格段に料金が安くなります。
一例として最大手であるLOOK JTB東京発のバンクーバー5日間スタンダードホテル宿泊タイプ、2012年(冬は2013年の1月まで)の料金で比較してみましょう。
4月~10月 114,000円~334,000円
11月~1月 79,800円~228,800円
夏の最安値は4月で、お盆直前の出発日で最高値となり、10月下旬には154,000円まで落ちます。そして、冬の料金は11月から12月上旬の平日を中心に最安値が付けられており、年末の出発日で最高値となります。
このように、冬のパンフレットの開始時期である11月から12月上旬は一年で最安値が付けられるシーズン。
余談になりますが、最安値になる理由は航空券やホテル料金が安くなることが理由ですが、それでも旅行代金は原価割れしているケースも珍しくありません。パンフレットの表紙に「バンクーバー5日間 ○○○○○円~!」といったアイキャッチが欲しいことなど、戦略的な理由で赤字覚悟のツアーになっているのです。
ただ、消費者サイドとしては、いくら安くなっても、ツアーとして楽しめるかどうか?ということが重要ですよね。そこで、今回は冬のバンクーバーツアーの注意すべき点や楽しみ方について考えてみたいと思います。
バンクーバーの冬はそれほど寒くないと言われるが・・・
イルミネーションが灯されたホテルバンクーバー (C) Hotel Vancouver / quinet
冬ということで、気になるのが気温なのですが、実際のところ、問題は気温ではなく、降雨量です。以下、東京や札幌のデータとの比較です。
※気温は摂氏、降雨量はmmが単位です。
都市名・データ/月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
---|---|---|---|---|---|
バンクーバー 気温 | 7.1 | 4.8 | 4.8 | 5.9 | 7.6 |
東京 気温 | 13.3 | 8.7 | 6.1 | 6.5 | 9.4 |
札幌 気温 | 4.9 | -0.9 | -3.6 | -3.1 | 0.6 |
バンクーバー 降雨量 | 219.5 | 211.5 | 143.6 | 173.5 | 153.1 |
バンクーバー 降雪量 | 2.7 | 11.8 | 15.3 | 10.2 | 2.7 |
バンクーバー 降水量 | 239.2 | 231.3 | 178.8 | 183.8 | 155.8 |
東京 降水量 | 92.5 | 39.6 | 48.6 | 60.2 | 114.5 |
まず気温ですが、東京より少し寒く、札幌よりはかなり暖かいレベルということがお分かりいただけるでしょう。寒さのレベルとしては、東京で寒波が来た時くらいをイメージしてもらえば、良いと思います。
そして、降水量ですが、東京の同時期の降水量に比べても格段に多いですね。ただ、東京の冬は逆に降水量が少なく、実際のところあまり比較対象になりません。降水量が多い季節といえば、梅雨。このシーズンにあたる6月の月間降水量と比較してみると・・・
東京 164.9mm
大阪 201mm
このように、11月や12月のバンクーバーは日本の梅雨を凌駕するほどの雨量。もはや雨季と呼んで良いレベルです。
雨は嫌だ!という方は、冬、特に11月と12月は絶対おススメできません。1月以降なら、多少雨量は減りますが、それでも雨は結構な確率で降りますし、旅行代金も10万を少し割り込む程度が相場で、コストパフォーマンスが下がります。
冬でも夏と同じように観光は楽しめる
カナダでも、ロッキーやナイアガラは冬は厳寒期で、霧の乙女号や雪上車観光のように、冬はオープンしていないアトラクションもありますが、バンクーバーは冬でも雪が降ることも少ないため、休みなることはありません。キャピラノ吊り橋、グラウスマウンテンのゴンドラ、バンクーバー水族館など、主なアトラクションは全てオープンしており、夏と同じ観光を楽しむことが出来ます。バンクーバー水族館のように、夏よりも冬の方が入場料が安くなるアトラクションもありますので、少しお得。逆に、営業時間が短くなるケースもあるので、営業時間の確認をお忘れなく。
代金が安く、クリスマス気分が味わえる12月上旬が狙い目
バンクーバーのクリスマスイルミネーションと言えばこれ。ダウンタウンにあるセントポール病院(!)です。 (C) DSC_0143 / focusedcapture
11月は料金が安いのですが、ハロウィーンが終わり、クリスマスに少し早いシーズンなので、正直少し中途半端。小売業界では売り上げのてこ入れを図るため、年々クリスマス商戦スタートが早くなり、11月でもショーウィンドウなどでクリスマスの雰囲気を感じることができますが、町全体ではまだまだです。とにかく安く!ということであれば、良いのですが、やはり、12月に入ってからの方が、町もきらびやかになります。されに、キャピラノ吊り橋など、12月に入るとイルミネーションが灯され、夏にはない楽しみがありますね。
絶対的な見どころのないバンクーバーだからこそ・・・
バンクーバーから日帰り可能なビクトリアの見どころ、ブッチャートガーデンのクリスマスイルミネーションは必見。(C) Butchart Gardens – I wish I had a taken my tripod! / Cindy Andrie
バンクーバーは、ロッキーやナイアガラのような世界的な観光地ではないので、見どころそのものは夏でも冬でも変わりなく、その点ではコストパフォーマンスが高いと思います。ただし、好天になる日は少ないので、その点は覚悟してください。