バンクーバーで観光ガイドをしていたころ、お客様から
「カナディアンロッキーへ日帰りで行きたいんですけど」
というご希望を聞いたことがありました。また、バンクーバーの周囲に見えている山を指して、
「あれはカナディアンロッキーですか？」
という質問を受けたこともありました。
なかなかバンクーバーとカナディアンロッキーの距離感というのは日本からのお客様にはつかみづらいようですね。実際、カナダは日本の27倍もの国土があり、一つ一つの見所がかなり離れています。バンクーバーからカナディアンロッキーも例外ではなく、その距離はおよそ800km。ちょっと日帰りで行くには無理があり、通常バンクーバー発着と考えれば、2泊3日の行程が一番無理なく、カナディアンロッキーを楽しむことができます。ただ、「サクッと行って帰って来たい」、「極力安く行きたい」というテーマで、可能性を探るべく、かなり無茶な行程を考えてみます。
今回は、無謀にも夜行バスの1泊だけで、カナディアンロッキーを回って帰ってくる、という日程をご紹介したいと思います。
日程を考える上での前提
何でもありなら、バンクーバーからカルガリーまではフライトを利用して、そこでレンタカーを借りれば、日帰り日程も可能です。ただ、レンタカーとなると、誰でもできるというわけではありませんので、公共交通機関を使うことを前提にします。（ただし、基本的に一般の定期観光などを利用するので、多少の英語力は必要となります）
次に観光ポイントして、バンフ、レイクルイーズ、コロンビア大氷原の定番観光ポイントを組み込むことを必須とします。これらのポイントは、やっぱりカナディアンロッキー旅行での定番なので、リピーターでもない限り、はずせないと思います。
バンクーバーからレイクルイーズまで夜行バスで移動
最初に夜行バスでカナディアンロッキーに直接アクセスします。往路にフライトを使うと、バンクーバー午前7時発が始発で、カルガリー到着が9時20分。ロッキーに入るころには11時ごろになっており、あまりに遅過ぎる･･･というわけで、最短日程を考える場合、最初に夜行バスを利用する方法がベストです。
バンクーバー・セントラル・ステーション 18:15 →（グレイハウンド）→ 08:00 レイクルイーズ・サムソンモール
そもそもバスは1日に4本しかなく、適当な時間帯のバスといえば、上記スケジュールしかありません。料金はもっとも安い21日前予約を使って、税など全部込みで$97.31です。料金やスケジュールは変更されることがありますので、最新のスケジュールと料金はグレイハウンド・カナダのホームページでご確認ください。
レイクルイーズで下車後、定期観光バスに乗車
この夜行バスは、この後、バンフを経由してカルガリーまで行きますが、レイクルイーズで下車しないと、コロンビア大氷原の定期観光バスに乗ることができませんので、レイクルイーズ下車が必須条件。
レイクルイーズでは、ハイウェイ沿いにあるサムソンモールにバスは到着します。ここは湖から4kmほど離れています。サムソンモールにはレストランやカフェなどがあるので、ここで朝食をとることも可能です。
そして、観光バスですが、一般の英語ツアー利用と日系ツアー会社の日本語ツアーを利用する方法があります。まずは英語ツアーですが、ブリュースターというカナディアンロッキー最大手のバス会社が催行しています。
フェアモント・シャトー・レイクルイーズ（湖畔） 09:45 → サムソンモール 09:55 → ボウレイクなどの湖や、コロンビア大氷原の雪上車観光 → バンフ 18:30
料金は雪上車乗車代金、税金込みで$167.95。こちらも最新の情報はブリュースターのホームページでご確認ください。この定期観光バスはサムソンモールから直接乗ることもできますが、上記スケジュールのように、バスはレイクルイーズの湖畔に立ち寄った後なので、レイクルイーズそのものを見ることができません。レイクルイーズを見るためには、自分でレイクルイーズまで移動し、そこから定期観光バスに乗らないといけません。サムソンモールからレイクルイーズ湖畔までは、タクシーを利用するしかありませんが、レイクルイーズではタクシーが限られているので、電話で呼ばないと来ないこと。そして、乗り合いになることがほとんどです。料金はサムソンモールから湖畔まで一人$7.00が目安です。（タクシー会社はLake Louise Taxi & Tours。ホームページはありません。電話番号は522-2020です）また、こちらのツアー代金には昼食は含まれていません。雪上車乗車ポイントのアイスフィールドセンターでも買えますし、サムソンモールであらかじめ購入しておいても良いでしょう。
そして、日本語ツアーを利用する方法。バンフには日系のツアー会社がいくつもあり、コロンビア大氷原へのオプショナルツアーを催行しています。これらの会社に直接連絡し、レイクルイーズに行く前に、サムソンモールでピックアップしてもらえば、レイクルイーズを見て、コロンビア大氷原へ行くことが可能になります。ブリュースターの定期観光バスのように、日系会社のツアーはスケジュールが完全に固定されていないので、その程度の融通を利かせてくれる会社がほとんどだと思います。オプショナルツアーの催行会社は、「カナディアンロッキー オプショナルツアー」あたりでググってみてください。料金もブリュースターより安い場合がほとんどです。
ちなみに、日本語ツアーの場合、ほとんどの場合、大型バンでのツアーになると思います。ちなみに、ブリュースターの定期観光は大型バスで催行されます。このあたりの違いはバスとバン、観光向きなのはどっち？徹底比較！の記事をご参照ください。
バンフ到着後、カルガリー空港へ移動
ツアーは大体18時から18時半くらいにバンフに到着します。この後、カルガリー空港へ移動しなくてはいけないのですが、できるだけ、バンフの町の雰囲気も味わっておきたいところ。バンフからカルガリー空港へはバンフエアポーターの最終バスが19時半出発なので、これにチョイス。料金は$57.50（税込み）です。これだと、何とかバンフで1時間くらいは取れそうなので、町をさらっと見るくらいはできそうです。バンフエアポーターなど、バンフとカルガリー空港の移動については、カルガリー空港からカナディアンロッキー、バンフ、レイクルイーズへ自力でアクセスする方法の記事をご参照ください。
カルガリー空港からバンクーバーへ
空港には21時半到着となりますが、この時間帯だと、Westjet131便の23:00発しか選択肢がありません。バンクーバー到着は23:23。飛行時間は1時間20分ほどですが、時差の関係で時計の上では23分となります。料金は常に変動しますが、諸税なども含めて、最低$200.00～と考えておけば良いでしょう。
日帰りにはなりませんが、とりあえず、夜行バス1泊だけでバンクーバーまで戻ってくることができました。ツアーにかかる費用は、総額$500.00を少し超えるくらいです。夜行1泊の旅行としては結構高いなあ、という印象。ただ、宿泊すると、この上に宿泊代金がかかるので、総額$700くらいはかかってしまうと思います。
もっと安く行きたい人は
帰りもバンフからの夜行バスを使えば、往路とバンクーバー～レイクルイーズと同じ料金で帰れます。スケジュールはバンフ発20:35、バンクーバー着08:15です。
これをやってしまうと、夜行二連泊になってしまうので、ものすごく疲れそうです。また、日本と違って、夜行だからといって、3列の独立シートのバスなどなく、すべて普通の4人掛けシートのバスなので、隣に人が座るとものすごく圧迫感があり、あまり熟睡できないと思います。北米全体にいえるのですが、体の大きな人が多いのに、何でシートがこんなに狭いのだろうと、いつも不思議で仕方ありません。
あまり現実味がない行程かもしれませんが、ひとつの可能性ということでご容赦ください。
