前回の投稿、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸を見学で触れましたが、台風の影響で北海道へ渡るのはギブアップ。丸一日かけて紀伊勝浦へ移動し、翌日熊野三山(熊野那智大社、熊野本宮大社、熊野速玉大社)を回りました。なぜ、熊野?それは天気が良い場所の中で、一番行きたいところだったという単純な理由です。日本海側から東北にかけては台風の影響でかなりの荒れ模様だったので、選択肢が非常に狭かったのです。
そんなわけで、三山めぐりのレポートと、その1日の旅に使ったお得なパスをご紹介したいと思います。
当日確保したホテル、ビジネスホテル・ブルーハーバー
最初に紀伊勝浦で泊まったホテルについても少し書いておきたいと思います。
いきなり予定を大幅に変更したので、ホテルの選択肢は限られていましたが、その中で最安値だったのが、勝浦港に面した場所に立つビジネスホテル・ブルーハーバー。1泊4,800円なり。
部屋や施設そのものには全く特徴はありません。
何せ1泊4,800円ですから過度な期待は持っていませんしたし、とにかく一晩寝られたら良いぐらいの感じでしたから。
ただ、ロケーションは良かったです。勝浦港の面しており、コインランドリーがある最上階から屋上に出ることができ、そこから勝浦港を一望することができました。
朝の7時からロビー前でコーヒーと食パンが食べられるようですが、朝7時過ぎには行動を開始しましたので、その内容は確認していません。純喫茶のモーニングって感じではないでしょうか。ホテルのWi-Fiは自前のものではなく、和歌山県の公衆Wi-Fiで、非常に繋がりが悪かったです。切断されるたびに承認ウィンドウが開くのには閉口しました。まあ、安いから仕方ないか。
那智駅からバスで大門坂へ、歩いて那智大社へ
紀伊勝浦駅 07:18(JR各停)07:23 那智駅 07:33(熊野交通バス)07:44(大門坂を徒歩)08:10 那智観光センター/熊野那智大社
三社巡りの最初の目的地は勝浦からアクセスできる熊野那智大社。
紀伊勝浦駅からバスに乗ることもできましたが、那智駅がどんな場所か見てみたかったので、電車で那智駅まで移動。
そこから那智大社行きのバスに乗りました。那智大社行きのバスですが、途中の大門坂でバスを降ります。大門坂は那智大社まで続く熊野古道の一部ですが、距離が2kmほどなので、熊野古道の雰囲気を少しだけで味わうには程よい距離です。
視界が広がり、舗装道路と自動販売機が見えたら、大門坂は終わり。階段を上がれば、那智山観光センターの横に出てきます。
大門坂バス停でバスを降りてから、那智観光センターの前まで来るのに要した時間は25分。私はかなりの早足ですが、それでも30分でクリアは楽勝です。ゆっくり情緒を楽しんで歩いても、1時間以内でたやすく歩けます。
大門坂バス停から古道の入り口までの距離を含めて、全長1km程度。標高差は600mです。気軽に熊野古道の雰囲気を楽しむには最適のルートで、どなたにもおススメです。
那智大社、青岸渡寺、那智の滝は3点セットで
那智山観光センターからは、看板に沿って順路通り歩けば、10分ほどで熊野那智大社の入り口に到着します。大門坂の道より、この階段の上りのほうが結構きつかったかも。
熊野那智大社の境内はそれほど大きくありません。
本堂の右側を抜けると青岸渡寺。神仏分離で熊野三山でも仏堂が廃された中で、熊野那智大社だけ仏堂が残り、青岸渡寺として復興したそうです。熊野那智大社と青岸渡寺はほぼ一体ですので、この2つはまとめて見られます。
青岸渡寺の本堂の右側を行くと、前方に那智の滝が見えてきます。
5分ほど歩けば、那智を代表する風景である三重塔と滝の並びの風景が見られます。
このまま滝のところまで歩き、那智の滝バス停から紀伊勝浦駅へ戻ることができますが、一旦那智観光センターに戻ります。それはこの地域を網羅する熊野交通バスが乗り放題になる「熊野交通悠遊フリー3日間」を購入するため。
熊野三山へのルートを網羅する熊野交通の路線バスが3日間乗り放題になる切符で、お値段は3,000円。新宮から熊野本宮大社への片道運賃が1,540円なので、この往復だけで元が取れてしまいます。紀伊勝浦駅前の熊野交通営業所でも販売しているのですが、営業所は朝8時オープン。私は7時過ぎには紀伊勝浦駅を出発していたので購入できず、那智観光センターで何としても購入し、この後のバス乗車をすべてカバーさせておきたかったのです。
このきっぷに関しては熊野交通のウェブサイトでも、オトク過ぎて売りたくないのか、あまり積極的に紹介されていません。下記リンクで直接その紹介ページをご確認ください。
熊野三山を回るなら、これはフリーきっぷは必須です。
勝浦漁港にぎわい市場でマグロのブランチ
那智観光センター 09:10(熊野交通バス)09:35 紀伊勝浦駅
熊野那智大社からバスに乗って紀伊勝浦駅に戻ってきました。新宮へ移動する電車の出発まで2時間ほどあるので、勝浦漁港いぎわい市場でブランチとお土産購入の時間に充てました。
10月上旬なのに気温が30度近くまで上がり、まるで初夏のような天候の中、早朝から歩き回ったので、昼間(というか、まだ午前中)から自分にご褒美。マグロ丼と地元のクラフトビールでブランチでちょっと贅沢をします。朝もローソンで買ったパンとおにぎりでしたし。
にぎわい市場は勝浦漁港に面していて、ウッドデッキのテラスで海風に当たりながら、心地よい時間を過ごせました。
勝浦から新宮へ移動し、バスの時間まで暇つぶし
紀伊勝浦駅 11:34(特急くろしお1号)11:49 新宮駅
宿泊ホテルを探しているときに紀伊勝浦と新宮の両方で探しましたが、新宮ではホテルが見つかりませんでした。しかし、実際にこの地にたどり着いて、その理由がわかりました。新宮はこの地域の中心都市で本宮大社や瀞峡への玄関口ですが、駅前には宿泊施設や店がほとんどなく、ちょっと入れば、住宅地です。町の中心は本宮大社行きのバスも通る熊野街道沿いで、駅は各観光スポットへの経由地という位置づけなのでしょう。
さて、バスの出発まで少し時間があったので、駅前にある徐福公園を散策。
それでも時間があったので、踏切から新宮駅構内を見たり。
JR西日本とJR東海の境界駅で運行上の拠点なので、側線がたくさんあります。パンダカラーの編成が留置されていました。
熊野交通バスで本宮大社へ
新宮駅 12:15(熊野交通バス)13:16 熊野本宮大社
この区間には熊野交通の他に、明光バスや奈良交通もバスを走らせていますが、熊野交通悠遊フリー3日間で乗ることができるのは熊野交通のバスだけです。
さて、新宮駅を出発したバスは地元の高校生と観光客の両方を乗せ、熊野川に沿って進んでいきます。熊野川の流れは本来青いそうですが、昨日かなり雨が降ったようで、川は茶色く濁っています。そういえば、那智大社の参道沿いのお土産屋のおばあちゃんが、昨日は階段が滝のようだったと言ってたっけ。
右手に大鳥居が見えてきたら、熊野本宮大社に到着。バス停の反対側が参道の入り口です。
参道の中央は神様の通り道。上りは右端、下りは左端という作法に従い、階段を登ります。
那智大社に比べたら、本殿までの距離は思ったほどではなく、私は5分ほどで本殿まで行けました。
本殿に参拝後、道路の反対側に見える日本一の大鳥居がある大斎原へ。セミが鳴いているし、晴れた空は高く、本当に夏のようです。
さて、熊野本宮大社といえば、日本サッカーの神様でもあります。象徴的な存在である八咫烏は日本代表のエンブレムにもデザインされています。
ワールドカップなど重要な試合前には、日本サッカー協会が必勝祈願を行うとのことで、バス停横にある情報館には日本サッカー界のビッグネームのサイン入りボールがたくさん陳列されています。
熊野三山最後の熊野速玉大社へ
熊野本宮大社 14:20(熊野交通バス)15:15 権現前バス停(徒歩5分)熊野速玉大社
再び熊野交通の新宮行きのバスに乗り、同じルートを戻ります。帰りは新宮駅の少し手間のバス停「権現前」で降車します。ここで降りたほうが駅から歩くよりずいぶん近くなります。バスの車内でも熊野速玉大社の最寄りのバス停であるアナウンスがされるので、ミスることはありません。
熊野速玉大社はこれまでの2つの大社に比べると知名度が低いのか、観光客も目に見えて少ないのがわかります。
ついでに新宮城跡へ
この後、名古屋へ移動する予定だったのですが、乗車予定の南紀8号の出発は17:30。まだ時間がかなりあったので、新宮城跡に登ってみました。
城自体は全く残っていないので、丘に登るような感じですが、新宮の町と熊野川がよく見えるのではないか、と予備知識ゼロの状態で登ってみました。距離はそれほどでもなかったのですが、とにかく暑かったので、汗ダラダラです。
高いビルがほとんどない新宮ですが、それでも新宮城跡ぐらいの標高では見下ろすという感じでもありません。
ただ、熊野川の流れはよく見えるので、これが水の濁っていない時なら、かなりきれいな風景になるかなと想像を巡らせます。
まだ時間があったので、阿須賀神社へ
新宮城跡を見た後、一旦新宮駅に戻ったのですが、それでも1時間ぐらいあったので、最後に新宮の町中にある阿須賀神社に立ち寄り、熊野神社巡りの締めといたしました。
最後にビールを買って、つまみの唐揚げを買って、南紀8号に乗りながら旅の余韻に浸っていたら、途中の四日市駅構内での信号故障のため、津で降ろされ、近鉄に乗り換える羽目に。さらに当日は鈴鹿でF1グランプリが開催されていたため、最寄りの白子駅で車内は超満員になり、なんだか締まらない最後になりました。